変形性膝関節症 case1

自己紹介欄にも書くつもりですが

僕の基本的な思考過程は入職して数年したあたりで出会ったとある先生の影響を大きく受けています

いろんな考え方がある分野だと思いますので生暖かく見守ってください…

そして違う分野や視点を持っているPTはぜひとも議論をお願いします!

さて、今回の症例を紹介したいと思います

肩関節周囲炎で介入しており、痛みはなくなり卒業かな…?というタイミングで本日膝痛の訴えをお聞きしました

〇Patient profile

50代 女性

職業:保育士(フルタイム)

体形:やせ型で高身長 親もお祖母ちゃんもO脚が強い家系に生まれ、Caseも内反変形が高度

印象:社交的で笑顔が絶えない 理解がよく病態の説明や治療に対して積極的に参加してくれる

現病歴:1週間ほど前から誘因なく膝の内側に痛みが出現 生活に制限はないが仕事で気になっている

〇Subjective interview

①右膝内側痛 指一本で示し、限局的

NRS:2~3

浅くはないが深部痛でもない

伸ばされてるような、引っ張られるような痛み

間欠的な痛み(今後は簡略化してI/Tて表記するかもしれません)

24時間動態:特に時間帯で増減することはない

疼痛持続時間:動作終了直後に消失する

増悪因子:しゃがみこみ、完全伸展

軽減因子:上記をしなければ気にすることはない

〇Red flagなし 

SIN(Severity、Irritability、Nature)は極めて低く設定し、評価と治療に制限は設けない

〇Assessment

ROM:患側の膝のみ伸展-5°

触診:鵞足部に圧痛

薄筋を単独で伸張するとツッパリ感は出現するが①を再現するものではない

半膜様筋を鵞足部から触診していくと①を再現可能 膝窩部まで圧痛点あり

trial:半膜様筋に対して滑走性を改善させるようにリリース、マッサージ20秒

→即座に痛みの軽減を認め、しゃがみこみ可能に

〇治療

半膜様筋の滑走性の改善を目的にリリース、マッサージを選択

半膜様筋上の皮膚下組織を抑えて膝の自動屈伸運動を指示

大腿側を外側に、下腿側を内側に抑えながらセッティングを実施(MWMs)

〇治療結果

治療後にすべての痛みと違和感が消失

自主トレに上記MWMsのセッティングを指導した

あとがき

今回の症例はもともと2か月くらい肩のリハビリで入っており、信頼関係はしっかり築けていました

そのためまったくの新患ではなかったわけですがそこは大目に見てもらって…

おそらくこの患者様は新患として他院の整形を受診してきた場合

『膝の内反が強く軽度の関節裂隙の狭小化がみられるから初期の変形性膝関節症だね!』

と診断されていたのではないかなーと思う症例でした

実際に最初に疼痛箇所を聞いたときは裂隙付近を指さしていましたし…

なので診断名をつけるならば鵞足炎が一番いいかもしれない症例でした(半膜様筋腱炎でもいいかも)

膝内側という段階では軟骨の摩耗によるOA痛や半月板(MM)損傷、雪道を歩いたことを考えれば内側側副靭帯損傷(MCL)なども視野に入れても良かったかもしれません

実際には軟骨は痛みを感じない組織なのでいわゆるすり減って痛みが出たなんてことはありえないですし、はっきりした受傷起点がなかったのでMM、MCLも除外していました

反省点としては、MMの変性断裂ならば可能性はあったし、後節損傷ならば最大屈曲・伸展ともに痛みが出るため似たような訴えが出ていた可能性が高い点です

なのでSpecial testとしてMcMarryを行っても良かったかなーと思っています

実際にはもっと色々考えながら治療していますし、評価ももっと丁寧に行っています

文章に起こすって難しい…笑

そして最初に末梢消神経の関与や中枢作動性の痛みの可能性はないか、などもチラッと考えるようにしています

基本的にはクリニカルリーズニングの考えに乗っ取って治療戦略を立てていますのでその道の方は鋭いご指摘をいただける嬉しいです。そしてその道以外の方は違った視点を与えて頂けると嬉しいです。

今回はこのへんで!

また次の症例でお会いしましょう

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